「21世紀のヒューマン・コミュニケーション」をリードする専門家を育てたい

海野泰男学長
「グローバル化の時代」という言葉を聞くようになってからずいぶんたちました。国境を越え、人種や宗教・文化の相違を乗り越えて、地球という星の上でみんながひとつになって共生する。それがグローバル化ということでしょう。確かにインターネットで情報が瞬時に世界を駆け巡り、携帯電話は世界中どこにいても繋がり、ビジネスの世界では巨大マネーがドルやユーロ、円などの市場を縦横無尽に行き交っています。国産とか舶来品という概念はとっくに陳腐化してしまいました。
問題は、人間です。グローバル化はボーダーレス(国境が消える)化を伴うはずなのに、国家や民族の対立はいっこうになくならない。その一方で特に最近の日本では、親兄弟、家族や友人という最も堅固だったはずの人間関係の絆が脆く曖昧になり、人間としてこれだけはしてはいけないと戒めていたはずの禁忌の留め金が粉々に砕け散ってしまったかと疑うような、忌まわしい事件が頻発しています。
このような時代にこそ、教育のあり方が改めて問われなければなりません。人に生まれれば人間になれるわけではなく、人の間に交わり、教育されて初めて、人間となることができるのです。人の間に交わるとは、コミュニケーションです。人と人、人と社会、異文化同士、国家同士…。教育とはすべからく、異なるもの同志を近づけ、理解と尊敬を育み、新しい価値を共に創造するためのコミュニケーション・リテラシー(能力)あるいはスキル(技術)を獲得するためにあるのです。
さて、常葉学園大学は教育学部、外国語学部、造形学部の3学部を擁しています。教育学部はそのものズバリ、人を人として教育する人材を養成するための学部であり、学校の教員を目指す人のための初等教育課程、幼児から高齢者まで、学びの時期と意欲に応じて教育サービスを提供していく生涯学習学科があります。来年度からは新たに、初等教育課程の心理専攻を発展・充実させた心理教育学科がスタートします。ストレスの多い現代社会では「こころのケア」の必要性が叫ばれており、人間らしいこころのコミュニケーションを構築する専門家養成は時代の要請です。
外国語学部は英米語学科とグローバルコミュニケーション学科の2学科制とし、スペイン語をスペイン・ラテンアメリカ専攻に改編、国際英語専攻と日本語教育専攻を新設しました。グローバル化時代のコミュニケーションの大前提となるランゲージ・リテラシーの守備範囲をより広げ、国際語としての英語に着目した学習のほか、英語も視野に入れたスペイン語およびスペイン語圏文化の学習と、外国人に対する日本語教育の専門家養成を目的とします。
造形学部はアート・デザインという言葉を超えたコミュニケーション・リテラシーを大いに磨き、安らぎや豊かさ、便利さを発信するクリエイターを育てます。
どんなに情報化が進み、世界が狭くなっても、ヒューマン・コミュニケーションの大切さは変わりません。むしろますます重要になると言っていいでしょう。その基礎はあくまで個人のアイデンティティです。自分はどんな適性を持ち、将来どんな分野で活躍するために、どんな能力が必要かを認識し、それに向かって努力しなければなりません。本学はそんな諸君を、全力を挙げて支援します。
常葉学園大学学長 海野 泰男










