真鍮の分析
□■真鍮の溶解■□
真鍮の小釘3本(0.3102g)を6mol/L HNO3を約15cm3に溶かし、加熱を始めると溶液は青緑色に変化し、釘が溶けていく。
小さな気泡がたくさん出てきてビーカーの溶液より上の内壁は発生したNO2で褐色になった。
最後に釘はすべて溶け、溶液の色は青色になった。この溶液を純粋で稀釈し250cm3とした。
◇◆キレート滴定による銅と亜鉛の定量◆◇
調整した真鍮の試料溶液5cm3を0.01mol/L EDTA標準溶液で3回滴定を行った。
3回の滴定の平均は9.583mlであった。
Cu2+とZn2+のいずれもが、それぞれ1:1でEDTAとキレート化合物を作る1)ので、
もとの真鍮の試料に含まれる銅と亜鉛の物質量の合計は4.7915×10−3molと計算された。
□■比色分析による真鍮試料溶液中のCu2+濃度の決定■□
硫酸銅水溶液にアンモニア水を加え、生じた[Cu(NH3)4]2+の吸光度を
分光光度計で400−650nmの間で測定した。
結果、吸収極大が630nm付近であることが分かった。
キレート滴定により濃度4.987×10−2mol/Lと決定したCuSO4溶液を
1,2,3,4,6,8,10cm3に6molアンモニア水10cm3
を加え全体を25cm3とし、吸収極大波長(630nm)で吸光度を測定し、[Cu(NH3)4]2+の630nmにおける検量線を作成した。
真鍮を溶解した試料溶液10cm3を6molアンモニア水10cm3を加え全体を25cm3として
分光光度計を用いて吸光度を測定し
0.320を得た。
この時のCu2+の物質量濃度は作成した検量線より0.00541mol/Lとなる。
これより薄める前のCu2+の物質量濃度は0.01325mol/Lとなり、
真鍮試料溶液中(250cm3)の銅の物質量は3.38125×10−3mol
となり、真鍮試料溶液中にあった銅の質量は0.214gと求められた。
結果から銅の質量は真鍮の質量の69.3%を占めていることが分かった。
また、亜鉛は真鍮の質量の29.7%を占めていた。
これは銅と亜鉛の割合が7:3の真鍮2)であることを確かめられた。
参考文献:1)三省堂 化学小辞典 <第3版>
2)視覚でとらえるフォトサイエンス 化学図録 改訂版 数研出版
戻る