アンテナを工夫する


ここでは遠距離のラジオを聞くときのアンテナを考えます.


どのアンテナが現実的か?

遠距離のラジオを聞くときに問題になるのは雑音他局の混信ラジオの感度不足などです.

これらを解決するためにはよいアンテナが必要になります. 混信について考えてみるとアンテナの指向性と周波数の選択度が重要になります. 感度不足ということになるとアンテナの利得が重要になります(私の経験からいって,感度不足よりも混信が深刻であることの方が多いと思われます). この目的に適しており制作と設置が容易で雑音にも強いアンテナはループアンテナということになります.

既製品のループアンテナですが,ミズホ通信のUZ-8DXでTBSラジオを聞いた場合の効果もあります.


ループアンテナの制作

ループアンテナを作るということは共振回路を作るということです. わからないところがあれば,掲示板メール:kdeguchi@tokoha-u.ac.jpを下さい.


必要な材料

材料は電気のパーツ屋あるいはアマチュア無線の店などに行けば手に入ります. 東京なら秋葉原,名古屋なら大須,大阪なら日本橋などに行けばあるでしょう.

導線

数十メートル(必要量),電気の流れるものならば何でもよいが電気抵抗の小さいものがよい. 電気抵抗が少なく手に入れやすいものは銅の線です. ニクロム線のような抵抗の大きな線を選ばないよう注意してください.

バリアブルコンデンサー(バリコン)

最大容量のなるべく大きなもの(300pF以上が望ましい),できればエアバリコンがよい. 値段は500-1000円程度だと思います. 名古屋では大須の第一アメ横2階の「ボントン」という店に中古のエアバリコンが置いてあります.

導線を巻き付けるもの

できるだけ大きな段ボール箱など,木の棒を十字に組み合わせたものでもよい. 導線の囲む面積が大きいほうがよい. ハンガーなどに巻いた導線を吊るして使うという方法もあります.


制作手順

  1. 導線を巻き付けコイルを作ります. このときコイルの断面積の大きい方がアンテナの感度が上がります. あまり大きくしすぎると邪魔になり,雑音も拾いやすくなるので注意. 目安としては断面積が1平方メートルのときは10から15回程度巻きます.

    導線を巻き付ける様子の図

    [追記] 2002/06/20

    巻数の計算ですが, G4FGQ's SoftwareにあるソフトウェアRJELOOP3を使うと簡単にできます.

    ただし,RJELOOP3はDOSの英語モードでないと動きません. Windows 9x系の場合は,MS-DOSプロンプトを開いて,usと入力すれば英語モードになります.Windows 2000の場合は,コマンドプロンプトのショートカットのプロパティの中のオプションから現在のコードページを変更すれば動くようになります.

    [追記] 2001/01/16

    巻数をどの程度にすればよいか分からない場合があると思いますので,簡単な近似計算を書いておきます. バリコンの最大容量が分からない場合は計算できないので注意して下さい.

    バリコンの最大容量を C,受信したい中波放送の下限周波数を fminとすると,必要なコイルのインダクタンス L は次の式であらわされます.

    L = 1 / ( ( 2 π fmin ) 2 C ) … (1)

    基準として,Five Hundred Clubにある中波用3mループアンテナを参考にします. このループアンテナのインダクタンスは約70 (μH) であるという記述があります.

    一般的に,コイルのインダクタンス L は,巻数 N,断面積 S の関数として次式のようにあらわされます.

    L = A N2 S

    参照するループアンテナの場合を代入すると,比例定数の A が求められます.

    70 × 10 -6 = A × 2 2 × 3 × 3

    A = 1.94 × 10 -6 ( H / m 2 )

    今,自分の作成したいコイルのインダクタンスを L とし,断面積を S とすると,巻数 N は,

    N = ( L / ( A S ) ) 1/2 … (2)

    例えば,バリコンの最大容量が 300 (pF),受信したい最低周波数が 500 (kHz) とすると,(1)式から必要なインダクタンスは約 340 (μH) になります.

    断面積を 1 ( m 2 ) とすると,(2)式を用いて必要な巻数 N は,

    N = ( 340 × 10 -6 / ( 1.94 × 10 -6 × 1 ) ) 1/2 = 13.2

    となり,13 回程度巻けばよいことが分かります.

    k = 10 3,μ = 10 -6,p = 10 -12 をあらわします.

  2. コイルの導線の両端をバリコンの端子につなぎます. このとき「半田付け」をした方がいいです. ポリバリコンの場合,端子が3つあって分かり難いかもしれません. その場合には真ん中の端子に導線をつなぎ,両側の端子を一つにまとめて導線のもう一方の端を取り付けます.

    バリコンのつなぎ方の図 アンテナの巻線の両端をバリコンにつなぐ.

    3端子のポリバリコンの場合の繋ぎ方の図 3端子ある場合は図のように接続する. 矢印の部分をアンテナの線に接続する.

    2連のエアバリコンの接続は以下の写真を参考にしてください.

    2連のエアバリコンの並列接続例の写真1

    2連のエアバリコンの並列接続例の写真2


アンテナの調整

調整は昼間の方がやりやすいです.

  1. アンテナの側にラジオを置き電源を入れます. ラジオの位置はアンテナのコイルの中心線上に近いところ,あるいは巻いてある線のなるべく近くに置いてください. ラジオにアンテナが内蔵されている場合,ラジオのバーアンテナとループアンテナの位置関係が重要です. ループ面の中心にバーアンテナが来るようにすると感度がよくなるはずです.

    ループアンテナとバーアンテナの位置関係

  2. バリコンを回してラジオの音が大きくなるかを調べます. 低い周波数から高い周波数まで音が大きくなればOKです.

  3. 低い周波数で音が大きくならないときはコイルの巻数を増やします.

  4. 高い周波数で音が大きくならないときはコイルの巻数を減らします.

  5. 3. 4. を繰り返して希望する周波数が入るまで巻数を調整します. たいていは巻数が足りないことが多いと思うので,余分に巻いておいて巻数を減らしていくほうがよいでしょう. この作業はひたすら根気がいります. あきらめずに調整を続ける事です.


アンテナの使い方

  1. アンテナの側にラジオを置いてアンテナのバリコンを回して希望の周波数で音が大きくなるようにします. ラジオの位置はアンテナのコイルの中心線上に近いところ,あるいは巻いてある線のなるべく近くに置いてください.

  2. 聞きやすい方向が見つかるまでアンテナの向きをいろいろと変えてみます. この時ラジオの向きもアンテナと一緒に変えましょう.

混信・雑音から逃れるには感度最小方向を混信・雑音に向けましょう. この際,目的の信号が感度最大でなくても構いません.

混信・雑音からの逃れ方の図


ラジオに外部アンテナの端子がある場合

ラジオに外部アンテナの端子がある場合はこれを使いましょう. 完成したループアンテナのコイルの部分に1回だけ線を巻き付けます. この線をラジオのアンテナ端子につなげばアンテナの性能をフルに使えます.

外部アンテナ端子への繋ぎ方の図

赤い線のようにピックアップ用の線を巻きつけて受信機に接続する. ピックアップの線の巻き方によってアンテナとのインピーダンスマッチングを取っているので,巻き方を調整することで受信状態を最適にできる.

アンテナ端子のないラジオの場合でも,ピックアップ用の線をラジオに巻きつけると効果があります.


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