ループアンテナに関する考察

新しいループアンテナを作成するにあたって,気がついたこと,調べて考えたことについて書いてみました.


スモールループアンテナはノイズに強い

スモールループアンテナ(波長に比べて十分小さなループアンテナ)そのものがノイズに強いという話をよく聞きますが,常にノイズに強いわけではありません.

そもそもアンテナから発生する電磁波には以下の3つの成分があります.

静電磁界
アンテナの極めて近傍に発生する電磁界で,距離の3乗に反比例して減少します. 家庭内から発生する雑音などは,距離が近いためこの静電磁界がメインとなります. 距離の3乗に反比例して減少するので決して遠距離には伝わりません. また,アンテナの特性を反映し,静電磁界は,電界成分だけ,磁界成分だけだったりします.
誘導電磁界
アンテナの近傍に発生する電磁界で,距離の2乗に反比例して減少します. これも静電磁界と同じく遠距離には伝わりません.
放射電磁界
アンテナから遠方に放射される電磁界で,距離に反比例して減少します. 放送局からやって来るような電波はこの放射電磁界ということになります. 放射電磁界では電磁波のエネルギーが電界と磁界に同じだけ配分されています.

ダイポールアンテナのような電界型といわれるアンテナでは,静電磁界は電界成分のみ(だから電界型のアンテナなのでしょう)です. 一方,スモールループアンテナのような磁界型のアンテナでは,静電磁界は磁界成分のみです.

アンテナを受信目的に使う場合でも同じ様に考えることができます. つまり,ダイポールアンテナは近傍から発生する電界成分をよく拾うのに対し,ループアンテナでは近傍から発生する磁界成分をよく拾うということです.

家庭内から発生する雑音のほとんどは,近傍の電界成分が強い電界型の雑音と考えられます. このため,ループアンテナはアンテナ近傍から発生する雑音の電界成分を拾わないアンテナということになります.

しかし,雑音の磁界成分が強かったり(配線等がぐるぐると巻いてあったりすると発生する可能性が高い?),雑音が遠方からやってくる場合は放射電磁界が雑音の主成分となるため,ループアンテナでも雑音を拾ってしまうことになります.

ただし,ループアンテナには8字指向性があるので,感度最小点を利用して雑音を効果的に減少させられます.

シールデッドループアンテナの原理について

方向探知用のループアンテナでは正確に方向探知を行うためシールドが施されています. シールドをつけるのは以下の理由によります.

ループアンテナも導体で作られているので,ロッドアンテナ等と同じ様に電界成分を拾ってしまうことがあります. これをループアンテナの垂直アンテナ効果といいます. 垂直アンテナ効果は周囲の導体によりアンテナの対称性(平衡)が崩れることでも発生します. 垂直アンテナは無指向性なので,ループアンテナの8字指向性と重なると感度最小点(null点)が不鮮明になります. さらに厄介なのは,電界成分と磁界成分を拾うときに位相差があったりすると,8字指向性が対称でなくなります. もっとも,方向探知ではこれを積極的に利用してカージオイド指向性を作ったりもしますが….

もともとループアンテナは近傍から発生する電界成分を拾いにくいアンテナですが,これをもっと改善するためにシールドを施すということも効果があります. 受信しようとしているのは電波で高周波ですから,導体で囲ってしまえば表皮効果により内部に高周波は侵入できません. ただし,完全にシールドしたら目的の電波を一切拾えなくなってしまいます. そこで,シールドの一ヶ所を切断します. これによって,電界成分はほとんど遮蔽されますが,磁界成分に対するシールド効果はなくなる(磁界はあくまでも閉じた回路でないと検出できない)というわけです.

シールデッドループアンテナの作成

このようにシールドするとループアンテナの特性をより発揮できるような気がするのですが,実際に中波受信のものを作るのは結構厄介です.

たとえば,ループアンテナにバリコンを組み合わせて目的周波数に同調させるのは一般的ですが,シールドをつけると難しくなります. これは,シールドと芯線の間に発生する静電容量のためで,同調できる周波数範囲が狭くなってしまいます. たとえば,3C-2Vのような同軸ケーブルだと1mあたり60pF〜100pF程度の容量があります.

また,多巻でシールドさせるのも難しいため,どうしてもバリコンの容量が大きなものが必要になります. 容量が大きくなるとアンテナのQが低下するため同調がシャープではなくなってしまうかもしれません.

そこで,考えられる方法は以下の2つになります.

ループアンテナそのものは同調させない
ループアンテナに直接バリコンを接続するのをあきらめ,プリセレクタを間に挿入し受信機に接続するという考えです. メリットとしてアンテナ構造が簡単になりますし,プリセレクタを室内に置けるので遠隔同調に悩むこともなくなります. ただし,アンテナの性能という面では?です.
シールドとの静電容量を減らす
シールドとの静電容量を減らしてしまうというのがもう一つの考えです. 芯線とシールドの距離が大きければ容量は減ります. そこで,シールドに直径の大きなアルミ製のダクト等を使用して静電容量を減らします. ダクトの直径は5cm〜10cm程度あるので,容量も1mあたり20pF〜30pFまで減らせそうです.

現在(2004/03/17)は,上記の2つの方法を試そうと計画中です.


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