AMステレオの原理


ここではAMステレオの原理を紹介します. 中波でのAMステレオ放送が満たさなければならない条件は次の2つです.

  1. 中波でのAMは帯域が狭いので,その範囲で信号を送れるものであること.隣の放送局との間隔は9kHzしかないので,帯域幅は±7.5kHzと決められている.
  2. 従来のラジオではモノラルとして問題なく聞こえること.

AMステレオの方法

AMステレオには5つの方法があります.ここでは代表的な2つについて説明します.

位相多重方式(モトローラ方式)

現在世界の標準的な方式となっています.日本のAMステレオもモトローラ方式です. 従来のAM方式に位相変調を組み合わせることでステレオを実現しています.

周波数多重方式(カーン方式)

アメリカなどで使われている方式です. 通常のAM信号には左右対称の側帯波がありますが,それを左右非対称にすることで右と左の信号を乗せる方法です.


モトローラ方式の原理

左右の信号を電波にそのまま乗せるというのは現実的ではありません. 左右の信号をそのまま乗せようとすると帯域が広がってしまうからです. 次のように左右の信号を和信号と差信号に変換してから電波を変調します.

AMステレオの概念

左右の信号波→和信号波,差信号波→AMステレオ波. 元の音声に戻すときには,和信号 + 差信号 = 左の信号:L,和信号 - 差信号 = 右の信号:R という操作をすればよい.

  左の信号:L    和信号:L + R → 振幅変調(AM) 
              →                               → AMステレオ変調波 
  右の信号:R    差信号:L - R → 位相変調(PM) 

位相変調というのはFMによく似た方法で,振幅ではなく波長(周波数)を変えるように働きます. 上のようにすることで,左右の和信号を用いて振幅変調をすることができ,従来のラジオでは左右の合成された音が聞こえるようになります. この方式のみそは左右の差信号を用いて位相変調をするということです. これは左右の信号はほとんど打ち消しあってしまうので,変調をしても位相(周波数)を大きく変えることはなく,結果として帯域が狭くても大丈夫ということになるからです.


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