4.ブラウン運動のシミュレーション
”初期化”ボタンではじめからやり直します.
”停止”ボタンで一時停止,”開始”ボタンで再開します.
ここでは平面上を運動するブラウン粒子について考えます.赤い
線の交わっている場所が,粒子の最初の位置です.”開始”ボタンを押すと,粒子はブ
ラウン運動をはじめます.
すでに4.ブラウン運動のしくみで見たように,たくさんの分子がブラウン粒子に衝突
すると,ブラウン粒子は分子から複雑な力をうけてジグザグしたデタラメな運動をしま
す.その力のうち,ブラウン粒子の運動をさまたげてブレーキをかけるような効果を
"粘性抵抗"とよびます.粘性抵抗は温度が高くなり分子の運動が活発になると小さく
なります.
”温度”を高く設定すれば,粒子は活発にブラウン運動をしま
す.また,”粘性抵抗”を大きくすれば,粒子に働く抵抗が大きくなるので,ブラウン
運動が押さえられます.”温度”や”粘性抵抗”をいろいろと変えて,ブラウン運動の
動きを確認してみてください.
ブラウン運動の軌跡を表示させることもできます.”停止”ボタ
ンを押し,続いて”初期化”ボタンを押して,初めの状態に戻してください.初期状態
では”軌跡”は無しになっているので,まずは0.1秒毎を選んでみましょう.そして,
”開始”ボタンを押します.すると,今度は軌跡を表示させながら,粒子はブラウン運
動をします.0.1秒ごとの粒子の位置を結んで軌跡を表示させていますが,これでは
軌跡が細かくてよくわからない,あるいはもっと時間間隔をあけて軌跡を表示させたい
という場合には,いくつかある中の軌跡の表示間隔を選択してください.
次からは,たくさんのブラウン粒子を見たときにわかる性質につ
いて考えます.
補足:
粘性抵抗は,ブラウン粒子がまわりの流体の分子から受ける力
のうち,平均の抵抗力に起因する,速度を減衰させる効果をあらわします.
ランジュバンは,ブラウン粒子が衝突によって分子から受ける力を,粘性抵抗と,
それら全体の力から粘性抵抗力を差し引いた乱雑に変化してゆらいでいる力とに
分けて,運動方程式を考えました.その方程式をランジュバン方程式と言い,このシ
ミュレーションでも使用しています.
本来なら温度が変化すると,それにともなって流体の粘性率も
変わるのですが,その変化は流体の種類によって違うので,このシミュレーションでは
温度と粘性抵抗とを関連付けていません.
また,粘性抵抗や温度などに物理系の実際の数値をあてはめて
シミュレーションすることは,膨大な計算量が必要になるなどのために不可能なので,
このシミュレーションだけでなくどのシミュレーションでも,ブラウン運動を視覚的
に理解しやすいようにするために,適当な値を使用しています.
次(5.ブラウン粒子の拡散)へ
もくじに戻る