7.ブラウン運動にひそむ規則性
”開始”ボタンで始まります.”停止”ボタンで一時停止,再開するときは”開始”ボタンを押してください.
”初期化”ボタンで,初めの状態に戻ります.
グラフを見やすくするために,縦軸は粒子の数によって尺度が変わるようになっています.
不規則な運動のブラウン運動でも,ブラウン粒子の数が
多くなれば,規則性が現れてきます.
原点から出発したブラウン粒子が各時間までに移動した平均の
距離を調べるために,距離の二乗をすべてのブラウン粒子について平均した平均二乗
距離を考えて,それをグラフの縦軸にとります.そして横軸に経過時間をとり,シミ
ュレーションで得た値をグラフに表します.
”開始”ボタンを押してください.時間がたつにつれてブラウン
粒子は原点から遠ざかっていくので,グラフは右上がりになります.粒子の数が10個で
は値にばらつきが目立つので,”停止”ボタンを押し,”初期化”ボタンで初めの状態
に戻してから,”粒子の数”を変えてみましょう.そして,”開始”ボタンを押しま
す.粒子が多くなるほど,グラフはきれいな直線を描きます.
つまり,粒子の数が多くなるほど,グラフは比例の直線に近くな
るということです.
”粘性抵抗”や”温度”の値を変えてみて,グラフがどう変化す
るのかを確認してみましょう.また,ふたつのグラフを表示させることができるように
なっているので,それぞれ違う条件でシミュレーションしてグラフの違いを比べてみて
ください.
補足:
ある任意の時間内に生じた,粒子の位置の変位の確率分布がガウス分布になるとき,平均二乗変位は時間に比例します.
実験のデータ
つぎに,このシミュレーションの結果を,ブラウン運動の映像の
ところのラテックス粒子の測定結果と比べてみましょう.左のグラフは,50個のラテック
ス
粒子を,この映像で2分間ほど追跡して得たものです.シミュレーションと
くらべてデータ点の数がはるかに少なくなっていますが,微小な分子がブラウン粒子
に衝突したときに,ブラウン粒子に乱雑な力をおよぼすと考えておこなった
シミュレーションのグラフのように,ブラウン粒子の平均二乗変位が経過時間に
比例していることがよくわかります.グラフ中の点が測定データです.わかりやすく
するために,それらの点にもっとも近い直線も示してあります.
ブラウン粒子の変位の大きさは適当な単位であらわしています.
グラフの縦軸の平均二乗変位も適当な単位です.
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