Kubo's Junk RoomVersion 0.2 (2002年12月2日)


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Big Briar社 Etherwave Theremin

テルミンの写真

「テルミン(Theremin)」はソビエトのTheremin氏が20世紀初頭に開発した電気楽器で、音程と音量を操作する2つのアンテナに手をかざすことにより演奏する独特な楽器である。写真の右側のピッチ・アンテナに手を近付けると音程が高くなり、遠ざけると低くなる。また左側のボリューム・アンテナに手を近付けると音量が下がり、遠ざけると上がるといった具合である。

この楽器は演奏者が体を揺らしただけでも音程が変化してしまうほど敏感な楽器で、これで音楽を奏でるにはかなりの熟練を要する。実際、過去において「演奏者」たりえたのは元バイオリニストのClara Rockmoreぐらいである。Clara Rockmoreの演奏はDEROSレーベルから発売されている「THE ART OF THEREMIN」というCDで聴くことができるので、ぜひ一度お試しあれ。

20世紀初頭に生まれた電気楽器のほとんどはシンセサイザーに駆逐され忘れ去られてしまった。現在でも使用されているのはオンド・マルトノ(Ondes Martenots)ぐらいであろう。この楽器はメシアンが大変気に入っていたため、いくらかの作品が残されている。オンド・マルトノに関しては世界を代表するオンド・マルトノ奏者原田節氏のページを見て頂きたい。

さてテルミンも失われた楽器といわざるを得ない。現在も使用されてはいるが、その多くは添え物的な役割しか与えられず、ソロ楽器としての役割は終えたといってもよい。先ほども書いたように、あまりに演奏が難しかったせいかもしれない。いずれにしても今後この楽器が日の目を見ることはあるまい。すたれたとはいえ、日本にはテルミン愛好家による団体「Friends of the Theremin」もある。かなり活発に演奏活動を行なっているようなので、こまめにチェックすれば生演奏を聴くチャンスがあるかも。

Big Briar, Inc.のEtherwave Thereminは低価格ながらピッチ・アンテナとボリューム・アンテナの両方を備えた本格的なものである。オシレータが比較的単純な波形しか出せないため音色は単純であるが、別途ギター用のエフェクタ等を通すことで重厚な音色に仕上げることも可能だ。なおこの製品を製作にあたってはシンセサイザーの生みの親とでもいうべきRobert Moog博士が監修にあたっている。

Etherwave Theremin同梱品
Etherwave Theremin本体
AC-ACアダプタ
取扱説明書および回路図(アメリカではキット販売もある)
VHS: Clara Rockmore「The Greatest Theremin Virtuosa」
VHS: 「Mastering the Theremin」

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